大学院生GENの数学小話 第3回-論理的思考力と数学 

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理工学研究科数理情報学プログラム2年数学専攻のGENです。
数学小話も今回で三回目となりました。今回は数学の特定の分野に関する話ではなく、数学を学ぶ過程で身につく論理的思考力についてお話します。皆さんは論理的思考力というとどんなものを頭におもいうかべるでしょうか?世間で大きく話題のYoutube切り抜きやディベート番組などでよく目にする某論破王などでしょうか。就活などの自己PRの例文にもよく論理的思考力などがあげられていたりします。この論理的思考力とはいったい何なのか?数学でなぜ論理的思考力がみにつくのか?について、数学科出身の私の個人的な見解を述べていこうと思います。

論理的思考力って何?

論理的思考力という単語をよく耳にしますが、論理的思考力とはいったい何でしょうか?論理的思考力といっても様々なものがあり、人や立ち場によって異なる場合もあるかも知れません。論理的思考力の前に論理とは何なのか考えてみましょう。論理は「矛盾や飛躍がない筋道を立てて考えること」です。この論理を使って物事を考えていく事を論理的思考力と言います。物事を正しいものは真、少しでも違うものは偽とされる数学では、あらかじめ厳密に定められた定義から矛盾なく筋道を立てていきます。数学を学ぶ過程で論理的思考力が身につくと言われるのはこれが理由です。


論理的思考力は役立つか?

よく論理的思考力は社会で役に立つと言われますが本当でしょうか?
私の考え方は正しく論理を用いれば役に立つが、万能ではないというのが答えです。論理は人間が考え出した概念であり、人間が全てのことに対してひとつの間違いもなく使うのは難しいです。論理が社会で万能であるためには、誰も間違いを決してしてはいけません。これは非現実的です。実際、間違っていると感じていても何らかの理由でそのままにするという事は案外世の中にありふれています。そういったものがゼロ出ない限りは論理的思考力のそのものを直接生かすことはできず、とうてい万能なものであるとはいえません。

論理的思考力は役立つ場面

論理的思考力が万能ではないといいましたが、全く役にたたないわけではありません。
ではどういった場面で役に立つでしょうか?
    私は自分の主張が正しいことや優れていることを認めてもらう時に役に立つと考えます。例えばあなたが作った商品を相手に売るとき、その商品が設定した価格がお得であることをお客さんに納得してもらう必要がありますよね。お客さんはその商品が完璧でなくても、他のものに比べて優れていることが分かればその商品を買うでしょう。あなたがお客さんがもつ共通認識などをもとに話を展開しながら説明する際におおいに役立つでしょう。お客さんが商品に詳しい場合や何らかのこだわりから条件がある場合は、より厳密で複雑な論理展開が求められるでしょう。

最後に

今回は数学を学ぶ過程で身につく論理的思考力について私の個人的な見解をお話しました。
厳密な論理にもとづいた数学そのものが直接的に役立っていると感じる場面は少ないかもしれません。ところが何かを比較してどちらの方が良いかなど考える場面では大いに論理的思考力が役立ちます。数学を学ぶ過程ではこの論理的思考力は必ず身につくものだと思います。