西洋中世史に関する本の紹介
こんにちは、さとうです。
最近寒すぎて、部屋でエアコンをつけていても全く温まりません。
特に足元が冷えます。
さらに、キッチンは別にあるので、キッチンまで暖かい風が届かず、悲しいです...
今回は、西洋中世史を学びたい人・知りたい人に向けておススメの本を紹介したいと思います。
今回紹介する本は、僕がまだ読んでない本・一部しか読んでない本もございますが、
修士論文を書く過程で参考にしたり、これから読みたいと思ったりしたものを挙げます。
1.堀米庸三(1913-1975年)
堀米先生は中世全般を大きく扱った著作が多いです。
特に西洋に関して「中世国家」について論じました。
以下、西洋中世史に関する代表的なものを挙げます。
・同『中世国家の構造』日本評論社、1949年。
(中世國家の構造 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
中世国家についての理論的なことが書かれています。
・同『西洋中世世界の崩壊』岩波書店、1958年。
(西洋中世世界の崩壊 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
修論でかなり参考にさせていただきました。
中世末期の状況やそれに対する堀米先生の見解が述べられており、とても面白い本です。
・同『正統と異端ーヨーロッパ精神の底流ー』中央公論社、1964年。
(正統と異端 : ヨーロッパ精神の底流 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
堀米先生を代表する一冊です。
・堀米庸三編『西洋中世世界の展開』東京大学出版、1973年。
(西洋中世世界の展開 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
論文集の形式で中世ヨーロッパがどのように展開していったのかが書かれています。
・同『中世の光と影』(上・下)講談社、1978年。
(中世の光と影 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
(下)を修論で参考。
『西洋中世世界の崩壊』同様、(下)は堀米先生の中世末期に関しての見解を知ることができます。
2.世良晃志郎(1917-1989年)
世良先生は、ドイツ法制史、西洋封建制、M・ヴェーバー(ウェーバー)の翻訳など
広範囲にわたり活躍されていた方です。
ドイツ法制史、ヴェーバーに関心のある方は要チェックです。
a.法制史
・H・ミッタイス/H・リーベッヒ(世良晃志郎訳)『ドイツ法制史概説』創文社、1954年。
(改訂版が創文社から1971年に出版)
(ドイツ法制史概説 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
改訂版:(ドイツ法制史概説 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
法制史家ミッタイスの翻訳。
ドイツ法の歴史がこの本につまってます。
・F・ケルン(世良訳)『中世の法と国制』創文社、1968年。
(中世の法と国制 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
中世法を「良き古き法」として理解したケルンの見解の翻訳です。
これに関して、下で紹介する『西洋法制史概説』で簡単に紹介されています。
・世良晃志郎編『ヨーロッパ身分制社会の歴史と構造』創文社、1987年。
(ヨーロッパ身分制社会の歴史と構造 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
これは論文集で、世良先生はドイツ法制史家K・クレッシェルの研究について検討しています。
b.封建制
・同『封建制社会の法的構造』創文社、1977年。
(封建制社会の法的構造 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
世良先生の封建制についての理解が書かれています。
堀米先生の考えについて検討されているので、比較してみることができます。
3.各分野概説・入門書
・岩村等・三成賢次・三成美保『法制史入門』ナカニシヤ出版、1996年。
(法制史入門 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
法制史の入門書であり、法制史に関心のある方にお勧め。
・勝田有恒・森征一・山内進編『西洋法制史概説』ミネルヴァ書房、2004年。
(概説西洋法制史 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
図や写真が多く含まれており、読みやすいです。
また、各章ごとに参考文献やおすすめ文献がまとめられているので、
この一冊から自分の関心にあった文献を探すことが出来ます。
・佐藤彰一・池上俊一・高山博編『西洋中世史研究入門』名古屋大学出版会、2005年。
(西洋中世史研究入門 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
各地域・時代についてどのような研究がなされてきたかがまとめられています。
そのため、自分の関心にあった文献を知ることができます。
4.岩波講座世界歴史
このシリーズは、1969-71年、1997-2000年、2021年-と3回にわたって刊行されており、
3回目は現在刊行中です。
「世界史」についてそれぞれ20世紀中ごろ、20世紀末、現在の最新の研究が載せられています。
これは西洋史に限らず、中国、インド、東南アジアなど幅広くカバーされています。
各回ごとに章分け・内容に特徴があるので、自分の関心にあったものを参考にできます。
第1回には先ほど述べた堀米先生や世良先生の論考が載せられており、僕は結構参考にさせていただきました。
5.マルク・ブロック(1886-1944年)
ブロックは世界大戦期のフランスの歴史家です。
現代歴史学に大きく貢献した人物の一人であり、その研究はいくつも日本語に訳されています。
さらに、第2次世界大戦に従軍、その後ドイツ占領下のフランスでレジスタンスとして活動した歴史家でもありました。
・同(井上泰男・渡邊晶美訳)『王の奇跡:王権の超自然的性格に関する研究, 特にフランスとイギリスの場合』刀水書房、1998年。
(王の奇跡 : 王権の超自然的性格に関する研究, 特にフランスとイギリスの場合 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
フランスとイギリスの国王が瘰癧患者に触れると、病が治るということに関する史学的研究。
・同(堀米庸三監訳)『封建社会』岩波書店、1995年。
(封建社会 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
西洋中世史に関しての名著。
西洋中世社会を環境や生活状況、心的状況、人的関係性といった多角的な方面から検討しています。
ブロックに関しては、解説書や人物に関して紹介本充実しています。
・樺山紘一編『現代歴史学の名著』中央公論新社、1989年。
(現代歴史学の名著 | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
・尾形勇・樺山紘一・木畑洋一編『20世紀の歴史家たち(4)ー世界編下』刀水書房、2001年。
(20世紀の歴史家たち | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
・二宮宏之『マルク・ブロックを読む』岩波書店、2016年。
(マルク・ブロックを読む | 富山大学附属図書館 OPAC (u-toyama.ac.jp))
今回紹介した本以外にも、歴史・中世史に関する文献はたくさんあります。
それらを全部紹介しきれなかったのですが、今回は僕が特に気になったものを選ばせていただきました。
西洋中世史に関心のある方は、もう残り少ないですが、ぜひ図書館の入り口横にお越しください。
僕は木曜の15:30-17:00に担当しています。
以上、さとうでした。